看護師の勤務表の作り方|2交替・3交替の基本ルールと手順

この記事の要点
- 看護師の勤務表は、動かせない予定を入れる → 夜勤 → 日勤 → 休日数の調整とチェックの順に組むのが基本です。いちばん条件が厳しい夜勤から組むのがポイントです。
- 勤務編成の目安には、日本看護協会のガイドラインの11項目があります(勤務間隔11時間以上、夜勤の連続は2回まで、連続勤務は5日以内など)。
- 病院では、入院基本料の施設基準(看護職員の月平均夜勤時間など)も満たす必要があります。
- 不公平感を減らすには、ルールに優先順位をつけて書き出し、夜勤・土日・連休の回数を数か月単位で見える化するのが効果的です。
「希望休を全部入れたら、夜勤が組めない」「せっかく組んだのに、急な欠員で一からやり直し」。2交替・3交替、夜勤の回数、一人ひとりの希望休。看護師の勤務表(シフト表)は条件が多く、看護師長の作成時間は1回あたり平均8.9時間、着手から第一案まで平均9.3日という調査もあります。
この記事では、2014年から国立大学附属病院と勤務表の自動化に取り組んできた「ほすぴタッチ」の運営チームが、2交替と3交替の違い、勤務表を組むときの基本ルール、1か月の作成スケジュール、作成の手順、公開前のチェックリスト、公平でもめない勤務表にするコツを順にご紹介します。
2交替と3交替の違い
病棟の看護師の勤務は、主に「2交替」と「3交替」に分かれます。どちらを採用しているかで、勤務表の組み方が変わります。
| 項目 | 2交替 | 3交替 |
|---|---|---|
| 勤務の種類 | 日勤・夜勤 | 日勤・準夜勤・深夜勤 |
| 時間帯の例 | 日勤 8:30〜17:00 夜勤 16:30〜翌9:00 | 日勤 8:30〜17:00 準夜勤 16:00〜翌0:30 深夜勤 0:00〜8:30 |
| 夜勤1回の長さ | 長い(16時間前後) | 短い(8時間前後) |
| 勤務表の表記の例 | 日・夜・明・休 | 日・準・深・休 |
| 組むときの注意点 | 夜勤の翌日の「明け」と、そのあとの休みを確保する | 勤務の回り方(正循環)と、深夜勤の前後の勤務間隔に注意する |
※時間帯や表記は一例です。病院や病棟によって異なります。
2交替の夜勤明けの日(「明」)は、夜勤の続きで朝まで勤務している日なので、公休(休日)とは別に数えるのが一般的です。「夜勤・明け・休み」を1セットで考えると、2交替の勤務表は組みやすくなります。
勤務表を組むときの基本ルール
日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)では、勤務編成の基準として次の11項目を示しています。勤務表を組むときの目安になります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| ① 勤務間隔 | 11時間以上あける |
| ② 勤務の拘束時間 | 13時間以内 |
| ③ 夜勤回数 | 3交替は月8回以内を基本とし、それ以外は労働時間などに応じた回数 |
| ④ 夜勤の連続回数 | 2回(2連続)まで |
| ⑤ 連続勤務日数 | 5日以内 |
| ⑥ 休憩時間 | 夜勤の途中で1時間以上 |
| ⑦ 夜勤時の仮眠 | 実労働時間が8時間以上の夜勤では2時間 |
| ⑧ 夜勤後の休息 | 2回連続の夜勤のあとは、おおむね48時間以上。1回の夜勤のあとも、おおむね24時間以上が望ましい |
| ⑨ 週末の連続休日 | 少なくとも1か月に1回は、土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日にする |
| ⑩ 交代の方向 | 正循環(日勤→準夜勤→深夜勤の順)にする |
| ⑪ 早出の始業時刻 | 7時より前を避ける |
※出典:公益社団法人日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)。ガイドラインであり、法律で義務づけられた基準ではありません。
病院として守る基準
- 入院基本料の施設基準:看護職員の配置数に加え、多くの入院料で「看護職員の月平均夜勤時間72時間以下」などの要件があります。計算方法や、計算に含める職員の条件は施設基準で決められているため、事務部門と確認しながら勤務表を組みます。
- 労働基準法・就業規則:休日の日数、時間外労働、深夜業の扱いなど。勤務間インターバル(勤務と勤務の間の休息時間)の確保は、事業主の努力義務とされています。
病棟ごとのルール(例)
- 夜勤には、リーダーを務められる看護師を必ず1名以上入れる
- 経験の浅い看護師どうしを、同じ夜勤に組まない。新人の夜勤は、独り立ちまで先輩とペアにする
- 育児中や介護中のスタッフの夜勤免除・時短勤務を反映する
- 常勤・非常勤、夜勤専従など、雇用形態ごとの勤務条件を守る
- 委員会や研修の日は、日勤にする
こうした病棟ごとのルールは、担当者の頭の中にしかないことが少なくありません。書き出しておくと、勤務表を引き継ぐときにも役立ちます。
1か月の作成スケジュール(例)
勤務表づくりは、組み合わせを考える時間より、希望の取りまとめや調整に時間がかかりがちです。毎月の締め切りを決めて、スタッフと共有しておきましょう。
| 時期(前月) | やること |
|---|---|
| 1日〜10日 | 希望休・研修・会議の予定を受け付ける(締め切りを明確に) |
| 11日〜15日 | 動かせない予定を入れ、夜勤から組んで第一案をつくる |
| 16日〜20日 | ルールのチェック、副看護師長などとの確認、必要に応じて本人と調整 |
| 20日ごろ | 勤務表を公開する(翌月の予定を立てやすいよう、できるだけ早く) |
| 公開後 | 勤務の交換の申し出や急な欠員に対応し、変更履歴を残す |
※日付は一例です。4月の人事異動や新人の夜勤開始、年末年始・大型連休がある月は、早めに着手しましょう。
看護師の勤務表を作る8つの手順
- 勤務の種類と必要人数を決める日勤・夜勤などの勤務の種類と時間帯、曜日や時間帯ごとに必要な人数を確認します。手術日や検査の多い曜日など、日によって人数が変わる場合も書き出します。
- スタッフの条件を整理する常勤・非常勤、夜勤の可否と上限回数、リーダーを務められるか、経験年数、時短勤務などを一覧にします。
- 希望休・研修・会議の予定を集める締め切りを決めて、スタッフの希望休や研修、会議などの予定を集めます。
- 動かせない予定を先に入れる希望休、研修、夜勤専従のスタッフの勤務など、変えられない予定から入れます。
- 夜勤から割り振るいちばん条件が厳しい夜勤から組みます。回数の偏り、連続の回数、夜勤のあとの明けと休みの並び、リーダーと新人の組み合わせに注意します。
- 日勤を割り振る必要人数を満たしつつ、リーダーやスキルのバランス、経験の浅い看護師とベテランの組み合わせを考えます。
- 休日数を調整し、ルールをチェックする公休の日数をそろえ、次の「公開前のチェックリスト」でルールを守れているか確認します。
- 公開して、変更に対応する勤務表を公開したあとも、急な欠員や勤務の交換の申し出に対応します。変更した理由と日付を記録しておくと、あとで確認しやすくなります。
公開前のチェックリスト
- すべての日・時間帯で、必要人数とリーダーが確保できているか
- 新人どうし、経験の浅い看護師どうしが同じ夜勤に入っていないか
- 夜勤回数が上限を超えていないか。連続夜勤は2回までになっているか
- 夜勤のあとに明けと休みがあるか。勤務間隔は11時間以上あいているか
- 連続勤務が5日を超えていないか
- 公休の日数がそろっているか。月に1回は土日の連続休日があるか
- 希望休・研修・夜勤免除などの条件がすべて反映されているか
- 病棟の月平均夜勤時間など、施設基準を満たしているか
- 夜勤・土日・祝日の回数が、特定の人に偏っていないか
公平でもめない勤務表にするコツ
- ルールに優先順位をつける:「必ず守るルール」と「できれば守るルール」を分けておくと、すべての条件を満たせないときに迷わず調整できます。
- 回数を数か月単位で見える化する:夜勤、土日祝、年末年始・大型連休の勤務を一人ひとり数え、1か月だけでなく3〜6か月の合計で偏りを確認します。
- 希望休の受付ルールを先に決める:1人あたりの希望の数、締め切り、重なったときの優先の考え方(前回通らなかった人を優先するなど)を事前に伝えておくと、不公平感を減らせます。
- 例外の理由を説明できるようにする:夜勤免除や希望が通らなかった理由を説明できると、スタッフの納得感が高まります。
- 作り方を一人で抱えない:勤務ルールを書き出して共有しておくと、担当者が異動・退職しても作成を続けられます。
毎月の勤務表づくりを楽にするには
ここまでの手順を見てもわかるように、看護師の勤務表は守るべき条件が多く、毎月ゼロから組むと大きな負担になります。楽にする方法は、ルールを設定してソフトで自動作成するか、勤務表の作成そのものを外部に任せるかのどちらかです(シフト作成ソフトの選び方)。費用の目安は勤務表の作成を外注する方法と費用の目安で比べています。
「ほすぴタッチ」の場合
この記事で紹介したような勤務ルールや病棟ごとのルールを設定し、AIと数理モデル(特許第7324260号)で勤務表を自動作成します。勤務表の作成そのものを当社が代行するので、毎月、完成した勤務表が届きます。スタッフはスマホから希望休を提出でき、決まった勤務を個人間で交換することもできます(管理者が承認)。700床以上の病院の看護部門では、作成にかかる期間が1ヶ月から2週間になりました。くわしくは病院・看護部のみなさまへをご覧ください。
参考資料
- 公益社団法人日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)。11項目の一覧は島根県の資料(PDF)でも確認できます
- 中村幸恵・永吉雅人・渡辺沙織「A病院における、勤務計画表作成の現状把握―メンバーシップの視点から―」(PDF)
よくあるご質問
看護師の勤務表は何から組めばよいですか?
希望休や研修など動かせない予定を入れたあと、いちばん条件が厳しい夜勤から割り振り、次に日勤、最後に休日数の調整とルールのチェックをするのが基本です。
2交替と3交替の違いは何ですか?
2交替は日勤と夜勤の2種類、3交替は日勤・準夜勤・深夜勤の3種類の勤務で24時間をまわします。2交替は夜勤1回が16時間前後と長く、3交替は8時間前後と短いのが一般的です。
看護師の夜勤は月に何回までですか?
法律で一律に決まった上限はありませんが、日本看護協会のガイドラインでは、3交替は月8回以内を基本とし、それ以外の交代制勤務は労働時間などに応じた回数にするよう示しています。病院では、入院基本料の施設基準(看護職員の月平均夜勤時間など)も満たす必要があります。
2交替の夜勤明けは、休日になりますか?
一般的には休日になりません。夜勤明けの日は前日からの勤務が朝まで続いている日なので、「明け」として、公休(休日)とは別に数えます。夜勤・明け・休みを1セットで組むと、休息を確保しやすくなります。
勤務間インターバル(勤務と勤務の間隔)は義務ですか?
勤務間インターバルの確保は、事業主の努力義務とされています。日本看護協会のガイドラインでは、勤務と勤務の間隔を11時間以上あけることを基準としています。
夜勤の回数を公平にするには、どうすればよいですか?
一人ひとりの夜勤・土日祝・連休の勤務回数を数え、1か月だけでなく3〜6か月の合計で偏りを確認するのが効果的です。夜勤免除などの例外は、理由とあわせてルールとして書き出しておきます。
勤務表の作成にかかる時間を減らすには、どうすればよいですか?
勤務ルールを書き出して整理し、シフト作成ソフトで自動作成するか、勤務表の作成そのものを外部に任せる(外注する)方法があります。「ほすぴタッチ」は作成を当社が代行し、完成した勤務表を毎月お届けします。